「愛用のロードバイクでキャンプツーリングに行きたいけれど、荷物を積むためのダボ穴がない…」とお悩みではありませんか?ロードバイクは走行性能を追求するため、キャリア用のネジ穴がないモデルがほとんどです。しかし、諦める必要はありません。ロードバイクのリアキャリアでダボ穴なしの車体でも、後付けで装備する方法は数多く存在します。
この記事では、リアキャリアでダボ穴なしのモデルに対応する方法として、リアキャリアのクイックリリースを活用した固定や、根本的な解決策となる自転車のダボ穴増設について詳しく解説します。具体的なリアキャリアのダボ穴増設パーツの紹介から、走行性を重視したリアキャリアの軽量モデル、デリケートなリアキャリアのカーボンフレームへの注意点、さらにはミニベロのリアキャリアでダボ穴なしの場合の対策まで、あらゆる角度から情報を網羅しました。あなたの使い方に最適なリアキャリアのおすすめを見つけるための完全ガイドです。
この記事でわかること
- ダボ穴なしロードバイクへのキャリア取り付け方法
- クイックリリースや増設パーツを使った具体的カスタム
- カーボンフレームや軽量モデルなど製品選びの注意点
- キャンプやツーリングにおすすめのキャリアの基準
ロードバイクのリアキャリアでダボ穴なしでも大丈夫
主なリアキャリアでダボ穴なしの取り付け方法
ダボ穴(ネジ穴)が一切ないロードバイクにリアキャリアを取り付ける最も手軽な方法は、シートポストやシートステーに直接固定するタイプのキャリアを選ぶことです。これらの製品は、フレームにキャリア用のネジ穴がないことを前提に設計されているため、多くのロードバイクやクロスバイクに対応できます。
代表的なものには、サドルの下の棒状の部品である「シートポスト」にクランプで固定するキャリアがあります。工具一本で簡単に着脱できる手軽さが最大のメリットで、普段はキャリアを外しておき、必要な時だけ使いたいという方に適しています。
もう一つは、後輪を支えるフレーム部分「シートステー」にベルトやクランプで固定するタイプです。シートポスト固定型よりも高い位置で左右2点に固定するため、比較的安定性が高いのが特徴です。THULEの「Thule Tour Rack」などがこのタイプに該当し、多様なフレーム形状に対応できる柔軟性を持っています。
シートポスト・シートステー固定型の注意点
これらのキャリアは手軽な反面、デメリットも存在します。多くは耐荷重が5kg~10kg程度と低めに設定されており、本格的なキャンプ装備のような重量物を積むのには向きません。また、固定力がフレーム直付けに劣るため、走行中の振動でズレやすいことや、構造上、サイドにパニアバッグを取り付けられないモデルが多い点にも注意が必要です。
リアキャリアはクイックリリースでも固定可能
より多くの荷物を安定して運びたい場合、後輪のクイックリリース部分を活用してキャリアを固定する方法が有効です。この方法なら、シートポスト固定型よりも格段に高い安定性と耐荷重を確保できます。
この取り付けを実現するには、主に2つのアプローチがあります。
1. クイックエンドアダプターを使用する方法
最も一般的な方法が、「クイックエンドアダプター」と呼ばれるパーツを使用することです。これは、後輪を固定しているクイックリリースシャフトに挟み込むことで、キャリア取り付け用のダボ穴を擬似的に作り出す金具です。このアダプターを使えば、一般的なダボ穴固定式のキャリアの多くを取り付けられるようになります。汎用性が高く、キャリアの選択肢が広がるのが大きなメリットです。
2. 専用クイックリリースが付属するキャリアを選ぶ方法
製品によっては、キャリア本体に専用の長いクイックリリースシャフトが付属しているものもあります。ADEPTの「ロードリアラック」やCYCLE DESIGNの「ロックキャリア」などが代表例です。これらはシャフト自体がキャリアの固定を兼ねる構造になっており、アダプターを別途購入する必要がありません。一体感のあるスマートな見た目が魅力です。
スルーアクスル車への注意
近年主流になりつつある、より剛性の高い「スルーアクスル」方式のロードバイクには、これらのクイックリリース用アダプターやキャリアは基本的に対応していません。スルーアクスル車に対応する専用のアダプターやキャリアも存在しますが、選択肢が限られるため、購入前にお使いの自転車の仕様を必ず確認してください。
便利な自転車のダボ穴増設という選択肢
「やはり、最も安定していて選択肢も豊富なダボ穴固定式のキャリアを使いたい」と考える方には、アダプターパーツを用いて自転車に擬似的なダボ穴を増設するという選択肢があります。これは、ダボ穴のないロードバイクに本格的なツーリングキャリアを装備するための、最も信頼性の高いカスタム方法と言えるでしょう。
この方法の最大のメリットは、キャリアの固定箇所をフレームの剛性が高い部分に設定できる点です。キャリア下部は後輪車軸(クイックリリース)、上部はシートチューブ(シートクランプ)で固定するため、重量物を積載した際の安定感が飛躍的に向上します。

実際にこの方法でカスタマイズしたロードバイクで、15kg近い荷物を積んで15,000kmの日本一周を走破したサイクリストもいるほど、実績のある方法なんですよ。
一見、大掛かりなカスタムに聞こえるかもしれませんが、使用するパーツは比較的安価で入手しやすく、取り付け作業もそこまで複雑ではありません。本格的なキャンプツーリングや長距離の自転車旅を計画している方にとっては、最もおすすめできる方法です。
具体的なリアキャリアのダボ穴増設パーツ
前述の通り、自転車にダボ穴を増設するには、主に2種類のパーツを組み合わせるのが定番のカスタムです。それぞれのパーツの役割と代表的な製品について解説します。
1. シートクランプ側(上部固定用)のダボ穴
キャリアの上部を固定するためには、シートポストをフレームに固定している「シートクランプ」を、ダボ穴付きのものに交換します。これにより、シートチューブの上部に頑丈なネジ穴を増設できます。
- 代表的な製品: GIZA PRODUCTS「キャリアーダボ付シートクランプ」、grunge「キャリアダボ付シートクランプ」など
- 注意点: シートクランプには様々な直径サイズがあります。購入前に、ご自身の自転車のシートチューブ外径をノギスなどで正確に測定する必要があります。
2. リアエンド側(下部固定用)のダボ穴
キャリア下部の最も荷重がかかる部分には、「クイックエンドアダプター」を使用します。これは後輪のクイックリリースシャフトに共締めすることで、車軸付近にダボ穴を追加するパーツです。
- 代表的な製品: VIVA「クイックエンドアダプター」
- 注意点: 走行中の振動でアダプターが回転しないよう、しっかりと締め付けることが重要です。また、フレームのエンド形状によっては取り付けが難しい場合もあります。
パーツ名 | 役割 | 主な製品例 | 選び方のポイント |
---|---|---|---|
ダボ穴付きシートクランプ | キャリア上部の固定点を確保 | GIZA PRODUCTS, grunge | シートチューブの正確な直径に合わせる |
クイックエンドアダプター | キャリア下部の固定点を確保 | VIVA | クイックリリース方式の車体に対応 |
この2つのパーツを組み合わせることで、ダボ穴のないロードバイクでも、耐荷重が高く安定した一般的なリアキャリアを取り付けることが可能になります。
ミニベロのリアキャリアでダボ穴なしの場合
小径車であるミニベロにリアキャリアを取り付けたいけれど、ダボ穴がない、というケースも少なくありません。この場合の対策も、基本的な考え方はロードバイクと全く同じです。
前述の「ダボ穴付きシートクランプ」や「クイックエンドアダプター」といったパーツは、ミニベロにも流用できる場合がほとんどです。これにより、ダボ穴がないミニベロでも、安定性の高いキャリアを取り付ける道が開けます。
ただし、ミニベロならではの注意点も存在します。
ミニベロにおけるキャリア選びの重要ポイント
最も重要なのは、お乗りのミニベロのホイール径(タイヤサイズ)に対応したキャリアを選ぶことです。ロードバイクで一般的な700C用のキャリアをそのまま取り付けると、荷台が極端に後方上がりになってしまい、安定性が損なわれたり、見た目が不格好になったりします。
20インチ(406や451)など、ミニベロのサイズに対応した専用キャリアを選ぶか、取り付けステーの長さや角度を広範囲に調整できるアジャスタブルタイプのキャリアを選択する必要があります。
また、ミニベロはフレームの設計が多種多様であるため、ロードバイク以上にパーツの干渉が起こりやすい傾向があります。特に折りたたみ自転車の場合は、キャリアが折りたたみ機構に干渉しないか、慎重に確認することが不可欠です。
可能な限り、自転車販売店で現物合わせをしながら適合するキャリアやパーツを選ぶことをおすすめします。
賢いロードバイクのリアキャリアでダボ穴なし製品の選び方
リアキャリアのカーボンフレームへの装着は要注意
ダボ穴の有無に関わらず、リアキャリアを取り付ける上で最も注意しなければならないのが、カーボン素材でできたフレームやパーツへの取り付けです。結論から言うと、カーボンフレームやカーボンシートポストへのリアキャリアの取り付けは、原則としてメーカーも推奨しておらず、大変危険なため避けるべきです。
カーボン素材は、特定の方向からの力には非常に強い一方で、想定外の方向からの圧迫や衝撃には非常に弱いという特性を持っています。
なぜカーボンへの取り付けが危険なのか
キャリアを固定する際のクランプの締め付け圧(トルク)が、カーボンの繊維を内側から破壊してしまう可能性があります。目に見える傷がなくても、内部で破損が進行し、走行中に突然フレームやシートポストが破断するという、命に関わる重大な事故につながる恐れがあります。
また、荷物の重さや走行中の振動が、設計上想定されていない負荷をフレームに与え続けることになり、これも破損の原因となります。いかなるアダプターを使用しても、このリスクを根本的に解消することはできません。

どうしてもカーボン製のロードバイクで荷物を運びたい場合は、キャリアではなく、大容量のサドルバッグやフレームバッグなどを活用した「バイクパッキング」というスタイルを検討しましょう。
走行性を損なわないリアキャリアの軽量モデル
ロードバイクの最大の魅力である「軽快な走り」をできるだけ損なわずに荷物を積みたい、と考えるのは自然なことです。キャリアを追加すると重量が増加するのは避けられませんが、できるだけ軽量なモデルを選ぶことで、その影響を最小限に抑えることができます。
リアキャリアの主な素材は、アルミ合金とスチール(クロモリ)の2種類です。軽量性を重視するならば、迷わずアルミ合金製のキャリアを選ぶのが良いでしょう。
例えば、TIOGAの「リア チューブラー キャリアー」は、中空アルミパイプを使用することで、本体重量が公称510g~545gという驚異的な軽さを実現しています。多くのアルミ製キャリアは500g~800g程度、頑丈なスチール製になると1.2kgを超えるものもある中で、この軽さは大きなアドバンテージです。
ただし、軽量性と耐荷重はトレードオフの関係にあることが多いです。軽量モデルは耐荷重が10kg~18kg程度に設定されていることが多く、スチール製の25kg以上という数値には及びません。自分の運ぶ荷物の重さを想定し、必要な耐荷重をクリアした上で、最も軽いモデルを探すのが賢い選び方です。
用途に合わせたリアキャリアのおすすめの基準
リアキャリアを選ぶ際は、「どのような目的で、どれくらいの荷物を運ぶのか」という用途を明確にすることが非常に重要です。用途によって、選ぶべきキャリアの基準は大きく異なります。
本格的なキャンプツーリングの場合
テントや寝袋、調理器具など、多くの荷物を積むキャンプツーリングでは、安定性と頑丈さが最優先されます。
- 耐荷重: 20kg以上のモデルが望ましいです。特に悪路を走る可能性がある場合は、余裕を持ったスペックが安心です。
- 素材: 多少重くても、耐久性が高く、万が一の破損時にも溶接などで修理しやすいスチール(クロモリ)製がおすすめです。
- 構造: 両サイドにパニアバッグをしっかりと取り付けられる、堅牢な作りの製品を選びましょう。日東(NITTO)の「キャンピー」シリーズや、ミノウラ(MINOURA)の「MT-800N」などが定番です。
日帰りツーリングや通勤・通学の場合
着替えや書類、買い物した品物など、比較的軽い荷物を運ぶのが目的であれば、軽快さや手軽さを重視して選ぶのが良いでしょう。
- 耐荷重: 10kg前後もあれば十分対応できます。
- 素材: 走行性能を損ないにくい軽量なアルミ製が最適です。
- 構造: 着脱が簡単なシートポスト固定型や、スタイリッシュなデザインの製品も選択肢に入ります。

「大は小を兼ねる」と考えがちですが、オーバースペックなキャリアは不必要な重量増につながります。ご自身のサイクリングスタイルに合った、最適なバランスのキャリアを見つけてくださいね。
パニアバッグ対応キャリアのメリットと選び方
リアキャリアを装備する大きなメリットの一つが、「パニアバッグ」を取り付けられるようになることです。パニアバッグとは、キャリアの左右両サイドに振り分けて装着する専用バッグのことで、多くの荷物をスマートに運ぶことができます。
パニアバッグを活用する最大の利点は、重心を低く、かつ自転車の中心に寄せられるため、走行が非常に安定する点にあります。荷物をキャリアの天板に高く積み上げるよりも、左右に分散させた方が、カーブや登り坂でのふらつきを大幅に軽減できます。
パニアバッグの性能を最大限に引き出すためには、キャリア選びにもポイントがあります。
パニアバッグに適したキャリアの構造
おすすめは、キャリアの天板部分よりも一段低い位置にパニアバッグを取り付けるための専用レールが設けられているモデルです。TOPEAKの「スーパーツーリストDX」シリーズなどがこの構造を採用しています。
この構造には2つのメリットがあります。
- さらなる低重心化: 荷物の位置がより下がるため、走行安定性が向上します。
- 荷物の干渉を防ぐ: 天板にテントやマットを積んだ状態でも、パニアバッグの着脱がスムーズに行えます。
ORTLIEB(オルトリーブ)に代表される完全防水タイプのパニアバッグと、こうした機能的なキャリアを組み合わせることで、天候を問わず快適な自転車旅が可能になります。
最適なロードバイクのリアキャリアでダボ穴なしを見つける
ここまで、ダボ穴のないロードバイクにリアキャリアを取り付けるための様々な方法と、製品選びのポイントを解説してきました。最後に、この記事の要点をリスト形式でまとめます。
- ダボ穴なしロードバイクでもリアキャリアの取り付けは可能
- 手軽さを求めるならシートポストやシートステーに固定するタイプ
- 安定性を重視するならクイックリリース部分を活用する
- 最も信頼性が高いのはアダプターを使ったダボ穴の増設
- ダボ穴増設にはシートクランプとクイックエンドアダプターが定番
- ミニベロの場合も基本は同じだがホイール径に注意が必要
- キャリア選びは用途(キャンプか日帰りか)で基準が変わる
- 頑丈さならスチール製、軽さならアルミ製を選ぶ
- カーボンフレームやパーツへのキャリア取り付けは原則禁止
- 軽量モデルは走行性を損ないにくいが耐荷重を確認
- パニアバッグを使うと重心が下がり走行が安定する
- パニア用の低床レールがあると荷物の干渉がなく便利
- スルーアクスル車は対応するアダプターやキャリアが限られる
- 購入前には必ず自身の自転車の仕様を確認する
- 最適なロードバイクのリアキャリアをダボ穴なしの愛車に装備しよう